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小さなカメラで紡ぐ、風景と歴史

X-S10を使い倒した私が、今気になる軽量ミラーレス3選【2026年】

カメラを買い替えるつもりは、まったくなかった。

FUJIFILM X-S10を手に入れてから、気がつけば数年が経つ。最新機種が次々と発表されるたびに、スペックシートを眺めては「いいな」と思い、でも結局「まだX-S10でいいか」という結論に着地する。その繰り返しだ。

ただ、正直に告白すると、一点だけ不満がある。AFだ。

x-s10のモニターに表示された飛行中のタカにピントを合わせたイメージ画像
カメラの背面液晶に表示された、飛行する猛禽類の頭部に緑色のフォーカス枠(被写体認識AF)がピントを合わせている画面
日常のスナップや風景なら問題ない。しかし動き回る子供を追うとき、飛んでいる鳥を狙うとき——X-S10のAFは、正直に言って「惜しい」と感じる場面が出てくる。この一点だけは、最新機種の進化が羨ましくなる。

だから今回、「もし買い替えるとしたら」という仮定で、気になっている3機種を並べてみた。実際には使っていない。あくまでX-S10を毎日使い続けているユーザーの目線で、正直に書く。


X-S10を「ものさし」にして、3機種を見ていく

比較の基準として、まず私が毎日使っているX-S10のスペックを整理しておく。

  • 重量:約465g(バッテリー・カード込み)
  • IBIS:5軸・最大6.0段
  • EVF:搭載
  • 液晶:バリアングル
  • AF:位相差・コントラスト複合、AIによる被写体検出なし
  • 価格:中古で約13万円前後(2026年現在)

このスペックを念頭に置いた上で、3機種を見てほしい。


① FUJIFILM X-M5|同じFUJIFILMのDNAを持つ「最軽量の後継候補」

この差は数字以上に大きい。X-S10でも「軽い」と感じていた私が、さらに110g削れた世界を想像すると、正直ちょっと羨ましくなる。カバンの底でその存在を忘れるくらいの軽さ、というのはどんな感覚だろう、と。

フィルムシミュレーションはX-S10で慣れ親しんだ色作りをベースにしつつ、最新の「REALA ACE」を含む全20種類に増えている(X-S10は18種類)。X-S10でも左側の汎用Fnダイヤルでフィルムシミュレーションを切り替えられるが、X-M5はダイヤル自体に「PROVIA」「Velvia」などのフィルム名が刻印された専用ダイヤルだ。目で見てフィルムを選ぶ感覚は、X-S10よりさらに直感的になっている。

AFは大幅に進化しており、動物・鳥・車・バイク・飛行機・電車などをAIで自動検出できる(昆虫はBIRDモード、ドローンはAIRPLANEモードで対応)。X-S10が苦手とした動体追従が、ここで一気に解消される。動画も6.2K/30p、4K/60pに対応し、Vlogに力を入れたい人には特に魅力的なスペックだ。

ただ、一番気になるのはEVFがないことだ。私はフィルムカメラ時代の癖もあってか、夢中になると、ついファインダーを覗いてしまっていることが多い。日差しが強い屋外では液晶が見えにくく、EVFは必需品でもある。小さな機能のようだが、けっこう大きなマイナス点だ。それと、IBISもない。これは後の結論でまとめて話したいが、X-S10ユーザーにとっては軽視できない弱点だ。

こんな人に向いている: とにかく軽さを最優先にしたい人、FUJIFILMの色が好きで乗り換えコストを最小にしたい人、動画・Vlogにも本格的に取り組みたい人、EVFは使わないと割り切れる人。

② Canon EOS R50|EVF搭載・軽量・高AF。「隙のないエントリー機」

約375gという軽さでありながら、EVFを搭載している。さらに冒頭で話した「AFへの不満」を解消してくれる可能性が最も高い機種でもある。

X-S10を選ぶ前に、実は検討していた機種の一つだ。当時IBISの有無が決め手になってX-S10を選んだ——そのIBISへのこだわりが、今も私をX-S10に引き止めている。

AFはDual Pixel CMOS AF IIというディープラーニングベースの被写体検出システムを搭載し、人物・動物・乗り物を自動判別して追い続ける。「走り回る子供が撮れない」「動物にピントが合わない」——X-S10で感じた限界が、ここで劇的に変わる可能性がある。

あるとき、友人の子供の運動会に同行した。X-S10を持っていたが、走る子供たちを追うのに明らかに苦労した。あの場にR50があったら、どれだけ楽だったろうと今でも思う。

価格帯も魅力的で、ダブルズームキット(標準ズーム+望遠ズームの2本セット)で13万円前後から購入できる。X-S10の中古本体価格とほぼ同じ予算で、レンズ2本込みのシステムが揃う計算だ。

弱点はIBISが非搭載という点。これも詳しくは結論でまとめて話す。操作系がエントリー向けにシンプルに絞られているため、細かい設定を素早く変えたいベテランには物足りなさを感じる場面があるかもしれない。レンズラインナップはXマウントほど豊富ではないが、2024年以降SIGMAやTamronからRF-S対応レンズが増えており、状況は改善されつつある。

こんな人に向いている: 子供やペットをよく撮る人、操作の簡単さ・わかりやすさを最優先にしたい人、EVF搭載でこの軽さ・価格帯を探している人、予算を抑えてダブルズームから始めたい人。

③ Nikon Z50II|最新AFと「撮って出しの色作り」を手に入れた本格機

3機種の中で、総合的なスペックの充実度が最も高いのがこの機種だ。EVF・バリアングル液晶・最新AIを備えており、「X-S10の後継機」として最も正直に候補になりうる。

ただし重量は約500g前後(バッテリー・カード込み)で、X-S10(約465g)よりひと回り重くなる。数字だけ見ればかなり魅力的だ。ただ、旅先で肩から下げ続けて歩いた一日の疲れまで想像すると、この差はじわじわ効いてくる。

AFはフラッグシップ機「Z9」と同じ画像処理エンジンEXPEED 7を搭載し、人物・犬・猫・鳥・飛行機・車・バイク・自転車・列車の9種類を検出できる。X-S10のAFとは世代が違う。これは正直、羨ましい。

「イメージングレシピ」という機能も面白い。クリエイターが作成した色調プリセットをNikon Imaging Cloudから無料でダウンロードでき、FUJIFILMのフィルムシミュレーションに近い「撮って出しの色作り」が楽しめる。FUJIFILMから乗り換えても、この点での喪失感は少ないかもしれない——と書きながら、やはりFUJIFILMの色には代えがたいものがある、とも思う。

価格は16-50mmレンズキットで16万円前後

弱点はIBISが非搭載。この点はX-M5・R50と共通だ。重量が3機種中で最も重いのも、長時間の撮影では意識しておきたい。

こんな人に向いている: AFの進化を実感したい人(鳥・動物・動体を撮る)、Nikonの自然な色表現に興味がある人、EVFとバリアングル液晶を両立させたい人、スチル撮影をメインに本格的に楽しみたい人。

比較表

FUJIFILM X-M5 Canon EOS R50 Nikon Z50II
重量(バッテリー込み) 約355g 約375g 約500g前後
EVF なし あり あり
IBIS なし なし なし
液晶タイプ バリアングル バリアングル バリアングル
AI被写体検出AF あり あり あり
キットレンズ付き価格目安 約13〜15万円 約13万円前後 約13〜15万円
主な弱点 EVF非搭載・IBIS非搭載 IBIS非搭載 やや重い・IBIS非搭載
おすすめの人 軽さ最優先・Vlog重視 子供・動物・初心者 AF重視・本格スチル

※価格は時期や販売店により変動します。購入前に各ショップで最新価格をご確認ください。


ここまでを一言でまとめると、

軽さならX-M5。 バランスならR50。 性能ならZ50II。

ただ、IBISを重視するなら話は変わる。


X-S10は、まだまだ最強のようだ

3機種を紹介しながら、意図的に後回しにしてきた話をここでまとめたい。IBISの話だ。

ボディ内手振れ補正(IBIS)をわかりやすく図解したイメージ画像
▲ センサー自体が物理的に動いてブレを打ち消す「ボディ内手ブレ補正(IBIS)」のイメージ。手ブレ補正を持たないMFレンズを使う際の必須機能です
3機種とも、IBISが搭載されていない。

これは偶然ではなく、設計上の判断だ。IBISはセンサーを物理的に動かす機構で、搭載するとボディが厚くなり、重量も増え、コストも上がる。「小型・軽量・低価格」を優先するエントリー機では省かれることが多い。代わりに電子式手ブレ補正(EIS)が搭載されるが、EISは映像の中央を切り出してブレを打ち消す仕組みのため、画角が狭くなり、解像感もわずかに落ちる。

そして最も大事なことを言う。EISは静止画には効かない。

※EIS(電子式手ブレ補正)は、撮影中の映像を一回り大きく捉え、手ブレが起きた方向とは逆の方向に映像の切り出し位置(トリミング枠)を瞬時にずらすことで、ブレていないように見せる仕組み。画角が狭くなるのはそのため。

動画向けの補助手段に過ぎないのだ。スナップ、ポートレート、旅先の風景——写真を撮る行為において、EISはIBISの代わりにならない。

私がどれほどIBISに助けられてきたかを、具体的に話したい。

X-S10にはWズームレンズキットのほかに、SAMYANG 12mm F2.0やTTArtisan 25mm F2といった手ブレ補正を持たないマニュアルレンズを組み合わせることが多い。こういったレンズで夕暮れの路地や薄暗いカフェを撮るとき、IBISがなければシャッタースピードを上げざるを得ず、暗くなるか、ブレるか、の二択になる。IBISがあるから、その場の光で、手持ちで、自然に撮れる。

以前、試してみた。暗いシチュエーションで、IBISを切って撮影したらどうなるかを。結果は惨憺たるものだった。

下の2枚の写真を比べて欲しい。2枚とも条件は、SAMYANG 12mm F2.0 ISO6400 露出時間0.67秒でまったく同じだ。1枚目はIBISをオフにした状態で、明らかな手振れ写真だ。そして、2枚目はIBISをオンにして撮った。完全ではないが、Web掲載ならギリギリ合格点といったところか。0.67秒というかなり厳しい条件でも、IBISは“失敗写真”を“なんとか見られる写真”に変えてくれた。このレンズをまた使いたいと思えるのは、IBISがあるからだ。

手ブレ補正がオフのために全体が大きくブレてピンボケになってしまった写真(失敗例)
SAMYANG 12mm F2.0 ISO6400 露出時間0.67s IBISなし

手ブレ補正の効果により、室内でもブレずに手前の黄色い春菊(シュンギク)の花にピントが合っている写真(成功例)
SAMYANG 12mm F2.0 ISO6400 露出時間0.67s IBISあり

X-M5・R50・Z50II、どれも魅力がある。AFの進化は本物だし、軽さも正義だ。でも3機種を並べてみたとき、頭に浮かんだのは「これでSAMYANGやTTArtisanは使えるか?」という問いだった。答えは、難しい。

こうして比べてみて改めて気づく。X-S10は「IBIS搭載・EVFあり・バリアングル液晶・約465g」という条件を同時に満たしている、実はかなり希少な存在だ。

3機種それぞれに合理的な選択理由がある。軽さを極めたいならX-M5、EVF搭載でコスパと軽さを両立させたいならR50、AFの進化を体感したいならZ50II。ただ、どれを選んでもIBISがない事実は変わらない。手ブレ補正のないレンズをよく使う人、暗所での撮影が多い人は、特に慎重に考えてほしい。

X-S10は、私にとって、まだまだ最強のようだ。


X-S10を3年使い続けている理由を、正直に書いた記事がある。IBISとEVFと重さ、そのバランスがなぜ手放せないのかは、こちらで話している。

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※ 価格はすべて2026年5月時点の参考価格です。時期や販売店により異なります。