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小さなカメラで紡ぐ、風景と歴史

X-S10のIBISは動画で十分?歩き撮りに限界を感じてAction 4を導入した話

X-S10の動画機能について書いてみたい。

写真に関しては、不満はほとんどない。IBISは強力だし、フィルムシミュレーションの色は好きだし、マニュアルレンズとの相性も最高だ。でも動画となると——正直、微妙だった。

最初に限界を感じたのは、京都の路地だった。

石畳の細い道を歩きながら、夕暮れの空気をそのまま動画に収めたかった。帰ってPCで再生したとき、「ああ、やっぱりか」と思った。揺れている。歩くたびに画面が上下にガクガクする。見ていて、少し酔う。IBISが効いているのはわかる。なしに比べれば段違いだ。でも、自分が思い描いていた「滑らかな映像」とは、大きく違った。

FUJIFILM X-S10での写真撮影の満足感と、歩き撮り動画における手ブレのストレスを比較し、DJI Osmo Action 4との二刀流が結論であることを示す図解
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X-S10の動画、気になったこと

写真機としてのX-S10には何の文句もない。だからこそ、動画での弱点は正直に書いておきたい。主に気になったのは4点だが、最大の問題は最後に書く。

バッテリーの減りが速すぎる

もともとX-S10のバッテリー持ちは弱点のひとつだ。写真撮影でも予備は必須で、それは以前の記事でも触れた。でも動画になると、ストレスの質が変わる。

私の場合、平均して30分ほどでバッテリー交換が必要になる。4K撮影・IBIS常時オン・瞳AF・液晶使用と、消費の多い設定を重ねているせいもある。予備バッテリーは常に3〜4本持ち歩いている。 それでもつい「ここでは、動画の撮影はやめておくか」ということもある。

x-s10と予備バッテリー4本を並べてある

本体が熱くなる

長時間回していると、ボディがじんわりと熱を持ってくる。小型ボディに大きなセンサーを詰め込んでいるのだから、仕方がない部分はある。でも手に持っていて「大丈夫か、これ」と心配になることがある。念のため電源を切って、しばらく冷ますこともある。

夏場は特に気を遣う。

AFが迷う瞬間がある

頻繁に起きるわけではない。でも被写体に近づいていくとき、不意に背景に引っ張られて、一瞬ピントが迷うことがある。暗い場所では、ピントが行ったり来たりするハンチングが出ることも。写真のAFなら「まあ許容範囲」で済むが、動画でピントが迷うと、その部分だけ使い物にならなくなるので困る。

歩き撮りでのIBISの限界(これが一番大きかった)

写真撮影では本当に強力なIBISだ。手ブレ補正のないマニュアルレンズでも、夕暮れの路地で手持ち撮影ができる。その恩恵は何度も書いてきた。

でも動画になると、話が変わる。

その場でパンしたり、チルトしたりする分には問題ない。風景をゆったりと動画に収めるなら、IBISは十分に仕事をしてくれる。でも歩きながら撮り続ける場面——商店街を歩く、神社の境内を歩く、街を散策する——では、確かにIBISなしに比べれば揺れは少ないのだが、スムーズではない。これが正直な感想だ。

広角レンズで歩くと、条件によっては「ワブル」という現象も出る。これは多くのミラーレスカメラで発生しやすい現象だ。電子補正が過剰に働いて、画面の端がゆらゆらと歪む感じだ。スマホで撮った動画を補正しすぎたときの、あのグニャッとした違和感に近い。

カメラのユーザーコミュニティを見ても、評価は一致している。「手持ちは安定する。でも歩くと上下動が残る」「歩き動画は見られるレベルにはなる。でもジンバルほどの映像にはならない」という声が多い。

つまり「IBISが弱い」のではなく、「歩行時の補正の質に不満がある」——これが、X-S10の動画における最大の課題だと思っている。

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DJI Action 4との出会い

そんなとき出会ったのが、DJI Osmo Action 4だった。

最初からX-S10以上の画質は期待していなかった。APS-Cセンサーと1/1.3型センサーでは、物理的に勝負にならない。でも、そういう話ではなかった。

なによりも、滑らかな動画が撮りたかった。

最初から歩き撮りを前提に設計されているアクションカメラには、先ほどの「ワブル」の発生はほぼない。多くのyoutube動画を観ても、歩いたり走ったりしたときの滑らかさが好評だった。そして、発売から半年経って、定価より15000円も安くなっていたというのも、購入の大きな後押しになった。


最初の感動——水平維持

Action 4を初めて持ち出した日のことは、よく覚えている。

歩きながら撮って、帰って再生した。揺れてない。正確に言えば、歩行特有の上下動は多少残る。でもX-S10で感じていたあの不快な揺れとは、次元が違った。

そして何より感動したのは、カメラが斜め45度に傾いても水平をキープする機能だ。RockSteadyとHorizonBalancing。歩き撮りを前提に設計されたカメラの、その根本的な設計思想の違いを思い知らされた。

はじめのころは、わざとカメラを左右斜めに振りながら歩いて遊んだ。そして、再生。水平線がピタッと保たれたままの映像に、思わず「おおっ」と声を出してしまったことを覚えている。滑らかな動画は、それだけで気持ちいい。 DJI Osmo Action 4の歩き撮り設計思想を解説する図解。45度まで完全に水平をキープするHorizonBalancing(水平維持)と、縦揺れを根本から相殺するRockSteadyの機能を説明


ただしAction 4も万能ではない

「安くていいカメラ」で話を締めようとしたが、実際に使い込んで気づいた不満もある。正直に書く。

歩行時の上下動は残る。 RockSteadyとHorizonBalancingは優秀だが、足を踏み出すたびの縦揺れを完全には消せない。YouTubeで見るような「レールの上を走るような映像」を期待すると、現実とのギャップに驚くかもしれない。 ただしこの揺れも、ジンバル歩きというyoutubeでよく見る、独特な歩き方をマスターすることで結構解消できる。が、この歩行は、あまり人目の多いところではやりたくないのも正直な感想だ。知らない方は、youtubeで探してみてもらうとわかるが、恰好がいいとはお世辞にも言えない独特の歩行方法だ。だが、この風景はしっかり収めたい。そんな時は、人目も気にせずジンバル歩きをしている自分がいたりもする。旅の恥は搔き捨てということだ(笑)

スマホアプリが面倒くさい。 より詳細な設定や、大画面でのデータ確認・編集には専用アプリ(DJI Mimo)を経由することになる。これが動作の遅さや接続の不安定さで、たびたびストレスになる。しかし、本体のタッチパネルでも大半の設定はできるので、特にアプリは必要としない人も多いかと思う。そういう私も最近ではほとんどアプリを使っていない。

メニュー操作が直感的でない。 本体の小さなタッチパネルで設定を変えようとすると、はじめのうちは特に、どこに何があるか迷う。

画質の限界は明確だ。 ボケ、ダイナミックレンジ、夜景——APS-Cセンサーとの差は明確だ。10bit D-Log Mや4K120pといった動画スペックは充実しているが、センサーサイズの物理的な差は埋まらない。特に暗所は弱く、夜の街歩きを綺麗に残したいなら、X-S10の方が圧倒的に有利だ。

この「暗所の弱さ」は、Action 4の後継機では大きく改善されているという話もある。気になる方は別途調べてみてほしい。

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二刀流という結論

結局、たどり着いたのは二刀流だった。

X-S10とDJI Osmo Action 4のアイキャッチ画像。完璧な『二刀流』の構築、動画撮影における『1台完結の幻想』を手放す機材論の文字

いまは両方持ち歩いている。使い分けはこうだ。

撮影シーン 使うカメラ
写真撮影全般 X-S10
画質にこだわった風景動画(なるべく歩かない) X-S10
街歩き・散策しながらの動画 Action 4
自転車やアクティビティ Action 4
雨天・水辺 Action 4(防水対応)

「どちらか一台だけ」と問われたら、答えに窮する。そのくらい、役割がきれいに分かれている。


X-S10とAction 4、正面から比較する

ここでスペックを整理しておく。

項目 FUJIFILM X-S10 DJI Osmo Action 4
価格 中古 約12〜15万円 約43,000円(購入時)
センサーサイズ APS-C 1/1.3型
ボケ表現 圧倒的に有利 苦手
夜景・暗所画質 有利 不利
色作り フィルムシミュレーション(18種) ナチュラル
手持ち静止撮影 強い 強い
歩き撮り 苦手との声あり 得意
水平維持 なし 45度まで対応
自撮り・Vlog 普通 得意
防水 なし あり
長時間撮影 40~65分 最大160分
操作性 ダイヤル中心で直感的 タッチ+アプリで慣れが必要

数字を並べてみると、改めて感じる。これは「どちらが優れているか」ではなく、「何を撮りたいか」で選ぶカメラだ。

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旅行動画なら、どちらが快適か

たとえば京都の街歩き、浅草散策、奈良公園、温泉街。旅先で動画を撮るなら、撮影スタイルで答えが変わる。

X-S10が向いている撮り方

立ち止まる → 撮る → 移動する → 撮る。

数秒ずつ、じっくりとフレームを決めて撮影するスタイル。このやり方なら、X-S10のIBISは十分に機能する。APS-Cセンサーの画質とフィルムシミュレーションの色が加わって、ワンカットの満足度は圧倒的に高い。

Action 4が向いている撮り方

歩く → そのまま撮り続ける → 歩く → 撮り続ける。

街の空気をまるごと切り取るような、流れる映像。京都の路地を5分間ずっと歩きながら、揺れの少ない映像を残したい。そういう撮り方なら、Action 4の独壇場だ。


カメラコミュニティで気づいたこと

各カメラのユーザーコミュニティを見ていて、面白い共通点に気づいた。

X-S10ユーザーは「歩き撮りならジンバルが欲しい」と言い、Action 4ユーザーは「もっと滑らかにしたいならPocketシリーズが欲しい」と言っている。

つまり、どちらも「完全無欠」ではないのだ。

上を見ればキリがない。でも、自分の用途に合ったカメラを選べれば、満足度は格段に上がる。「完璧な一台」を探し続けるより、足りない部分を別のカメラで補う方が、実は合理的なのかもしれない。

私が二刀流に落ち着いたのは、そういう経緯だ。

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結論:X-S10は写真機として最高、歩き撮りはAction 4に任せる

x-s10とaction4のそれぞれの実機を並べている

X-S10の良さは、これまでの記事でたくさん書いてきた。写真の色、IBISの恩恵、マニュアルレンズとの相性、毎日持ち出せる軽さ。その評価はまったく変わらない。

ただ、動画の——特に「歩きながら撮り続ける」という一点において、X-S10には限界がある。それは弱点というよりも、カメラのカテゴリそのものの限界だ。X-S10単体で、歩き撮り専用機のような滑らかさを求めるのは難しかった。

Action 4は、その限界をきれいに埋めてくれた。

絵作りの満足度はX-S10。歩きながら撮る快適さはAction 4。

この二刀流が、いまの私にとっての最適解だ。


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▼ X-S10のレビュー記事はこちら

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▼ 機材ロードマップの記事はこちら

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